「私たちの技術と美に対する信条は一言に集約できます。それは、制約のないクリエイティビティです。 たとえその結果がときに驚くような、あるいは当惑するようなものだとしても。 私たちは円形が持つフォルムに取り組みたいと感じていました。 そして、ダイバーズウォッチの製作プロジェクトで、技術的な「マニフェスト」を思いつきました。 私たちが特定の形状にこだわるときには、必ず根拠があります。 特定の用途を意識した技術的なクリエーションによってアーティスティックな側面が生まれます。」
RM 025 トゥールビヨン クロノグラフ
手巻トゥールビヨンムーブメント、時・分・秒表示、クロノグラフ、30分積算計、パワーリザーブインジケーター、トルクインジケーター、ファンクションインジケーター。
約50時間(± 10%)、クロノグラフ稼動で45時間。
実際のパワーリザーブの時間は、クロノグラフの使用時間によって変わります。
これはカーボンナノファイバーからつくられた等方性複合素材で、あらゆる方向での力学・物理・化学的な安定性を確保するために、7,500 N/cm2 の高圧と2,000℃の高温で射出成形が行われました。
ムーブメントの地板の外周を波状にすることで、地板とブリッジの最適な剛性を実現しました。
カーボンナノファイバーコンポジットは、製造工程のさまざまな温度条件はもとより、常識の枠を超えるような温度であっても、非晶質、化学的に中性、寸法安定という特性があります。 こうした安定性により、いかなる条件下であれ、ムーブメントの軸間のばらつきを抑え、最高の信頼性が確保されます。
グレード5チタンは、チタン90%、アルミニウム6%、バナジウム4%で構成され、生体適合性、耐食性や剛性に優れた合金です。 この組成によって素材の機械特性がさらに強化されるため、航空宇宙産業や航空産業、自動車産業でこの合金がよく使用されています。
クロノグラフ
このムーブメントでは、斬新な構造により、無用な重なりを避けて、ひとつひとつの部品が整然と合理的に配置されています。そして様々な技術的ソリューションによって、各種機能を最大限に活用できるようになっています。 例えば、各種レバーを制御するコラムホイールの幾何構造設計について研究を重ね、高性能のクロノグラフに欠かせない特性、すなわちクロノグラフ機構の長期にわたる、完璧で安定した動作や同時作動を実現しました。 このような設計は、さまざまな機能の確実な再現性に支えられた動きを高度なレベルで実現するために採用されたのです。
ファンクションインジケーター
車のギアチェンジのように、ファンクションインジケーターはリューズを引き出すことにより、W(巻き上げ)、N(ニュートラル)、H(時刻合わせ)のポジションを示します。 現在のポジションは4時位置の針で、W(巻き上げ)、N(ニュートラル)、H(時刻合わせ)のうち選択した機能が表示されます。
トルクインジケーター
このインジケーターは主ゼンマイの張り具合を表示し、ムーブメントの時間測定機能の最適化を可能にします。5.3 N.mm以下の張りは緩すぎ、6.5 N.mm以上は張りすぎとなり、張りすぎの場合はメカニズムの作動に影響を与えることがあり、損傷につながることもあります。
パワーリザーブインジケーター
パワーリザーブインジケーターは、ふたたび巻き上げる必要が生じる前に、主ゼンマイに残された動力の時間を示します。
可変慣性フリースプラングテンプ
フリースプラングテンプにより、衝撃を受けた場合やムーブメントの組み立てと分解の際に、より高い信頼性がもたらされ、また長期間にわたり優れた計時精度が保証されます。 緩急針はなく、テンプに直接取り付けられている4つの調節可能な小型のウェイトにより、正確で反復可能な調整が可能です。
高速回転バレル(1回転=6時間、従来は7.5時間)
この香箱は以下の長所を備えています:
・主ゼンマイの周期的な張り付き現象を大幅に減少させ、性能を高めます。
・パワーリザーブ、性能、均一性の理想的な比率を採用、主ゼンマイは優れた三角曲線を有しています。
ムーブメントの特徴
ムーブメント直径:38.95 mm
厚さ:8.12 mm
トゥールビヨン直径:12.30 mm
石数:30、ホワイトゴールド製シャトン(石座)にセッティング
テンプ:グリュシデュール®製、2アーム型、4個の調整ネジ、慣性モーメント 10 mg•cm2、リフトアングル 53°
振動数:21,600振動/時(3 Hz)
ヒゲゼンマイ:ニヴァロックス®によるエリンバー
耐震装置:KIF エラスター KE 160 B28
香箱真:ニッケルフリーのクロニファー®(DIN x 46 Cr 13 + S)製。以下の特性を有しています:耐錆性・耐磁性を備え、熱処理に最適
トルクリミッティングクラウン
この追加安全装置によって、巻き真の損傷や香箱の主ゼンマイへの圧力のかけ過ぎといった問題を引き起こす恐れのある過度の巻き上げを防ぎます。
仕上げ
・手作業による面取りと研磨
・手作業によるポリッシュ仕上げの係止部
・サファイアブラスト加工を施した切削部分
・ラップ加工およびポリッシュ仕上げの接続部分
・艶出しした軸
・サファイアブラスト加工を施した表面
・手作業による面取りと研磨
・ダイヤモンドツールによる凹面面取り
・サーキュラー仕上げの表面
・ロジウムメッキ加工(歯をカットする前)
・歯の形状と性能を維持するため、加工後の処理は最低限に留める
その他の特徴
この機構により、特に巻き上げの開始時に、巻き上げ効率を向上(約20%)させることができます。 またこれにより、主ゼンマイの張りが効率的に配分されます。
香箱の歯車のセントラル・インボリュート歯形には20°という理想的な圧力角が採用されており、回転運動の効率を向上させ、輪列動作のばらつきを補正します。 その結果、優れたトルク伝達効率と性能の大幅な向上が実現されました。
これにより、組み立て時にネジにかかるトルクのより正確な調節が可能になりました。 組み立てや分解時にほとんど影響を受けないため、理想的な経年変化が保証されています。