世界最高レベルのテニスの試合は5時間、もしくはそれ以上続くこともあります。今回のアイディアは、トゥールビヨンを競技場で使えるようにすることでした。トゥールビヨンは、クレーコート上で何時間も連続して発生する衝撃(力は数百Gに及ぶ)への耐久性、完璧な装着感、そして驚異的な軽さといった要素を併せ持たなくてはならず、これはどんなトゥールビヨンムーブメントであっても極めて困難な挑戦なのです。
リシャール・ミルが誇る高性能な機械式時計のデザインも、一から考案し直し、再テストを行う必要がありました。それでもこうした気の遠くなるような挑戦はリシャール・ミルの得意とするところ。友人のラファエル・ナダルはこのモデルを『第2の肌』と呼びながら着用し、全仏オープン、全英オープン、そして全米オープンで勝利を飾りました。しかしブランドはそれに先駆け、彼のために限界をどこまでも押し広げなければならなかったのです!
キャリバー RM027
手巻きトゥールビヨンムーブメント、時・分表示
50本限定
このキーコンセプトこそ、リシャール・ミルがラファエル・ナダルと密接に協力して開発したRM 027 トゥールビヨンの原点であり、ナダルはRM 027を実際の環境でテストし、テニスの試合に着用しました。この時計実験の成果は事実が示しています。トップレベルのテニスの試合では急激な動きや衝撃が生じるにも関わらず、RM 027 トゥールビヨンは装着に関する一切の違和感をラファエル・ナダルに与えず、且つその耐久性を証明しました。
RM 006(ストラップなしで42g)とRM 009(ストラップなしで29g)に続くRM 027はストラップ込みで重量20g以下を実現し、当時としては史上最軽量の時計となりました。
「チタンとALUSIC®製のケースやカーボン製地板を用いてトゥールビヨンを製作した時、私たちが戦っていたのは先入観でした。チタン製の腕時計は重さが足りないので、高級タイムピースにはなりえない、というものです。しかしこうした考え方はすぐに影を潜め、時間が経つにつれて時計愛好者にも、最高のテクノロジーに基づく超軽量ウォッチを評価してもらえるようになりました。」
リシャール・ミル
RM 027 トゥールビヨンのムーブメント地板に使われているのはチタンとLITAL®の合金。LITAL合金は、リチウム含有量が高く、アルミニウム、銅、マグネシウム、ジルコニウムを2.55の密度で含んでいます。最も軽い元素の一つであるリチウムを合金に加えると、いたずらに重量を増やさず強度を向上させることができます。この合金は同じ理由から、航空宇宙産業のエアバスA380、ヘリコプター、ロケット、人工衛星、そしてF1レーシングカーの製造にも採用されています。
こうして完成したのが、ムーブメントの重量がわずか3.83gしかない世界最軽量の機械式トゥールビヨンウォッチでした。
RM 027のウォッチケースは、カーボンを主成分とする複合素材から作られ、その優れた強度と弾性で中心部のトゥールビヨンムーブメントを保護します。一体化されたバックベゼルとミドルケースが、全体の軽さを確保。風防やカーボン製のベゼルとインナーベゼルは抜群の強度とねじれ剛性を発揮します。