RM 022
2009年に発表されたRM 021 エアロダインは、時計製造界において画期的かつ現代的な素材を使用することで時計産業に大きな影響を与え、そのデザインもRM 022 エアロダイン デュアルタイムゾーンの基盤となりました。
Calibre RM022
Manual winding tourbillon movement with hours, minutes, dual time zone indicator, function selector, power-reserve and torque indicators.
完全に独自の素材を時計製造へ応用するブランドの基本理念に従い、RM 022の地板には、チタンの外枠にハニカム構造の斜方晶系チタンアルミナイドとカーボンナノファイバーを組み合わせた複合素材が使用されています。これらの素材は、チタンアルミナイドから開発された新しい合金で、Ti2AlNbの斜方晶相上に並んだ固有の結晶分子構造を持っています。斜方晶系チタンアルミナイドの中でも、特定の結晶性分子構造を持つTi2AlNbをベースに開発された新しい合金です。
この合金を使用した幾何学的なハニカム構造は、もともと米航空宇宙局（NASA）によって研究されていたものです。超音速機の「サンドイッチ」式の翼は、心材に超高熱への耐性とねじれ抵抗が不可欠であり、NASAはその素材として合金の応用を研究していました。見事な外観をもつハニカム模様ですが、鋳造加工では十分な耐応力のある結合が得られないため、あらかじめ成形されたハニカムパターンを顕微鏡レベルでレーザー溶接し、完全な板状の材料を作成します。
これにより、このハニカム状の合金は稀に見る剛性と低熱膨張率、そして並外れたねじれ抵抗などの特性を備えています。ダイヤル側から見える地板の形状は、翼の先端が機体の中央より高い位置にある全翼機のV字に類似しています。香箱とトゥールビヨンは、空気力学的な構造の中央深部に配置され、軽やかなブリッジの上で、両側の4本のアームに支えられています。これらの時計には、リシャール・ミルが時計製造に対して掲げる確固とした哲学の特色が見事に結集しています。
RM 022にはトルクインジケーターが搭載され、主ゼンマイのテンションを視覚化しているため、ムーブメントの歩度を最適化することができます。また、最大70時間のパワーリザーブインジケーター、そしてリューズ中央のプッシュボタンで操作可能なファンクションセレクターが備わっており、着用者は巻き上げ（W）、ニュートラル（N）、時刻合わせ（H）へとポジションを切り替えられます。
この機能はレーシングカーのギアチェンジからインスピレーションを得たものであり、リシャール・ミルの耐久性の追求から生まれました。