キャリバー RM038
手巻きトゥールビヨンムーブメント、時・分表示
38本限定
F1レースやテニスと同様、ゴルフは妥協の許されないスポーツであり、リシャール・ミルにとっては性能を実証する格好の舞台です。今回、ゴルフ特有の環境で機能する革新的なトゥールビヨンウォッチを設計・製造するためにリシャール・ミルがこだわったのは、軽量性、究極の耐衝撃性、そして快適な装着感の3点です。
屈指の飛ばし屋であるバッバ・ワトソンは、腕時計を着用してゴルフコースを回る数少ない左利きゴルファーでもあります。そんな条件を新たなチャレンジと捉えるリシャール・ミルは、ゴルフチャンピオンである彼のために、特別なトゥールビヨンウォッチの開発に着手しました。
石数19石、振動数3HzのRM038キャリバーでは、地板、ブリッジ、テンプ受けにグレード5チタンを採用しました。この素材は構造全体に優れた剛性を与えつつ、表面に完璧な平面性を確保するため、輪列を極めてスムーズに動かすことが可能になります。パーツは厳しい強度要件を満たすために、個別の徹底した検証テストが課されています。
このキャリバーの高速回転バレルは、主ゼンマイの周期的な張り付き現象を大幅に減少させ、性能を向上させます。パワーリザーブ、性能、規則性の理想的なバランスによって、主ゼンマイの優れたデルタ曲線が得られます。また、バレルの歯と三番車のカナのセントラル・インボリュート歯形により、最適な圧力角20°が得られます。これにより、回転運動の効率が高まるとともに、輪列における歯車のかみ合いにばらつきが生じても補正されます。その結果、優れたトルク伝達効率と性能の大幅な向上が実現されました。
RM 038のケースには、非常に堅牢で軽いマグネシウムWE 54と呼ばれる合金を使用しています。この合金は、マグネシウム89%、イットリウム6%、レアアース5%から構成され、建設に用いられる最も軽い金属の一つ。高温でも優れた保持性能を備えています。またマグネシウムWE54は、従来のマグネシウム合金より等方性に富む機械特性を持っています。
長い時間を要する精密な機械加工の後、この合金にMiarox®と呼ばれるエレクトロ・プラズマ酸化処理を施します。その結果得られるコーティングは、非常に優れた耐性をもつ結晶性酸化セラミックです。この処理を施すことによって合金の硬度と耐傷性が強化され、摩耗と腐食への耐性も高まります。マグネシウムWE54に施されるこの処理は生体適合性があり、航空宇宙・自動車産業や医療分野で使用されています。
3層構造のケースには2つのニトリル製O-リングガスケットが使用され、50mの防水機能を保証。ケースの組み立てには、12本のグレード5チタン製スプラインネジと、316Lステンレススティール製の耐摩耗性ワッシャが使用されます。