独自の魅力的外観と技術面での複雑さを併せ持つ、 RM 74-01およびRM 74-02 オートマティック トゥールビヨン。完全自社開発された自動巻きトゥールビヨンキャリバーが搭載された2種の新作が登場します。どちらも時計の「心臓部」にあたる部分には、際立ったスケルトン加工が施され、ケース素材の違いから外観が異なって見えるものの、それぞれが際立った個性を持つ、双生児のようなモデルです。
RM 74-01 オートマティック トゥールビヨン
スケルトン加工が施された自動巻きトゥールビヨンムーブメント、時・分表示、可変慣性モーメントローター
約50時間 (± 10%)
RM 74-01の地板とブリッジはグレード5チタン製で、生体適合性と腐食に対する高い耐性を持ち、極めて硬い合金であるため、輪列がスムーズに作動します。合金の組成は、グレード5チタンが90%、アルミニウムが6%、バナジウムが4%。この組成によって素材の機械特性がさらに強化されるため、航空宇宙産業や航空産業、自動車産業でこの合金がよく使用されています。
スケルトン加工の地板とブリッジは、徹底した検証テストを経て、最高の強度条件を満たしています。
究極のイノベーションを象徴するテンワ。衝撃を受けた場合やムーブメントの組み立てと分解の際に、より高い信頼性を約束し、長期間にわたり優れた計時精度を保証します。
緩急針はなく、テンプに直接取り付けられている4つの調節可能な小型のウェイトにより、正確で反復可能な調整が可能です。
可変慣性モーメントローター
RM 74-01はローターの巻き上げを最適化するために、可変慣性モーメントを用いています。
ローターの技術仕様 :
• 18Kホワイトゴールド製で重量をもたせた外周エッジとエッジリング
• プラチナ製のウェイト
• ボールベアリングを使用したセラミックス製自動巻きシステムOneWay®
• 両方向巻き上げ方式
この可変慣性モーメントローターは自社製のキャリバー CRMT6に搭載され、ユーザーの使用環境に合わせて設定を可能にしています。
設定は、スプラインネジでふさわしい位置に固定することができる2つのウェイトの調整により行います。2つのウェイトが互いに近づくとムーブメントの慣性が上がり、香箱はより速く巻上がります。ウェイトがローターの先端に位置すると慣性が下がり、香箱はゆっくりと巻き上がります。
ムーブメントの特徴
-ムーブメントサイズ: 30.70 mm x 23.70 mm
- 厚さ:6.20 mm
- 石数:23
- テンプ:CuBe(ベリリウム銅)製、4アーム型、4個の調整ネジ、慣性モーメント7.5 mg•cm2、リフトアングル50º
- 振動数:28,800振動/時(4 Hz)
- ヒゲゼンマイ:AK3
- 耐震装置:インカブロック 908.22.211.100(透明)
グレーサーメット製ケース
グレーサーメットとは、チタンの軽量性とセラミックスの硬度を兼ね備えるリシャール・ミル独自の新素材です。ジルコニウムの金属マトリックスに高性能セラミックスを組み合わせることで、他に類を見ないグレーの色合いが得られました。
製造には新素材に劣らず、究極のプロセスが採用されています。様々な素材を同時に高温で加圧するにもかかわらず、それぞれの特性を維持しながら均一な素材を得るのは大変困難な作業です。組成に超硬合金の一般的な成分であるニッケルやコバルトを含めなかったため、今回のプロセスは一層困難を極めました。グレーサーメットはREACH規制に準拠しています。
専門研究所での長年に及ぶ開発期間を経て、リシャール・ミルとIMIグループは、不要な結合剤を取り除き、必要な材料のみを保持する革新的なプロセスを確立しました。同プロセスでは、通常通り高温で圧力を加える際に強力な電流を次々に印加することで、焼結速度を促進させます。この技術はフラッシュ焼結と呼ばれています。
同様の組成をもつ素材は防弾用具から、航空宇宙における大気圏再突入用スペースシャトルの構成部品や胴体外側の部品、そしてレーシングカーのブレーキにまで使用されています。サーメットは、密度が4.1 g/cm3 そして2,360ものビッカース硬度を誇ることから、高性能セラミックスに相当する素材です。非常に傷が付きやすいベゼルに最適な素材である上、時計全体の軽量性も保つことができます。ベゼルはグレード5チタン製のミドルケースに取り付け、軽量化をさらに追求しました。
3層構造のケースには2つのニトリル製O-リングガスケットが使用され、50mの防水機能を保証します。ケースの組み立てには、20本のグレード5チタン製スプラインネジと、316Lステンレススティール製の耐摩耗性ワッシャーを使用しています。
仕上げ
・手作業によるポリッシュ仕上げが施された面取り部分
・手作業によるポリッシュ仕上げが施された面取り部分
・マイクロブラスト加工を施した切削部分
・マイクロブラスト加工を施したくり型面
・地板とブリッジにPVD加工
・サテン仕上げの表面
・手作業によるポリッシュ仕上げが施された面取り部分
・手作業によるポリッシュ仕上げのくり形面
・艶出し加工を施した部分
・ダイヤモンドツールでポリッシュ仕上げを施したくり型面
・表側の表面に円形装飾
・ロジウムメッキ加工(歯をカットする前)
・歯の形状と性能を維持するため、加工後の処理は最低限に留める
その他の特徴
この香箱は以下の長所を備えています:
・主ゼンマイの周期的な張り付き現象を大幅に減少させ、性能を高めます。
・パワーリザーブ、性能、均一性の理想的な比率を採用、主ゼンマイは優れた三角曲線を有しています。
この時計では、ムーブメント全体を通じて動力を伝達する主要機構である輪列に、特別な歯車歯形が採用されています。 リシャール・ミルの自社製キャリバーのために特別に開発された歯車は、20°の圧力角を採用しています。 この機構では、温度変化や通常の使用によって各歯車の軸間に生じうるズレが補正され、テンワへのトルク伝達効率を高めて、優れた計時特性をもたらします。
これにより、組み立ての際にネジの締め付けトルクを最適に制御することができます。 組み立てや分解時にほとんど影響を受けないため、理想的な経年変化が保証されています。